コマーシャルなどで何気なく耳にする色々な音の中で、人の足音や車のクラクションは、音響効果音を専門に作成する会社で作られている。
コマーシャル制作会社や構成作家からCMの台本が渡される。その中のSE(サウンドエフェクト=効果音)を作り上げるのが音響効果の仕事である。
ただの雑踏でもこだわりがある
実際にCMを見て(聴いて)いるとき、15秒や30秒の短い時間の中での効果音などあまり意識して聴く人はいないだろうと思われるが、効果音を制作するに当たっては、様々な指定を受けることが多いのだ。
例えば、足音は新宿西口地下街で、また、若者のざわめきは渋谷センター街などなど、実に細かい場所の指定がある。
そして、マイクを持って実際に録音に出かけるわけだ。
一発勝負の録音
録り直しのできる場合は良いが、どこどこの教会の鐘の音を使いたいなどの注文の場合は、一日に一回しか鳴らない時もあり、一発勝負の録音となる。
もちろん、事前の下調べも十分行うが、録音レベルの調節は、やはり長年の経験が必要となる。
同じメーカーの車のクラクションでも車種が違えば音が違う
また、車のクラクションの場合は、メーカーや車種によって違いはある。
新車は発売前に収録できないため、同じメーカーのクラクションを収録するのである。
ほとんどの視聴者があまり意識していないこんな部分で、涙ぐましいくらい努力している人達がいるわけだ。
録音後の作業
さて、無事に録音が終了しても、収録した音がそのまま使えるとは限らない。
イメージと違ったり邪魔な音があったりする場合があるからだ。
そんな場合は、これまでに収録したテープから音を取り出し、ミキサーを使って加工する。
電車の走行音や駅のベルの音(もちろん各会社の各駅ごと)。川の流れる音も夏と冬では違うため、季節ごとに分けられ、ライブらにーに収められている。
ほんのわずかな音を作る為に、これほど収録や制作に気を使っていると思ってもいなかったであろう。
この仕事を目指すならこれからはコマーシャルの効果音を、意識を持って聴いてみよう。