2種類のアレンジャー
アレンジャーの仕事は、大きく分けて二つある。
オーケストラなどの大編成の演奏を前提とした曲を原型を損なわずに小編成用にする、
いわばあまり創造的ではない仕事と、曲のコード進行やリズムパターンを変えたり
まったく異なった楽器編成に変えたりして新しいイメージを作り出す創造的な仕事である。
ボーカルの入った曲を例にとると、ワンコーラスのメロディをただ2番、3番とつないでいくだけでは
あまりにも単調になってしまうため、色々なアレンジが必要になってくる。
曲のつかみともいうべきイントロダクションや、曲全体の流れに変化を与える間奏、また曲の余韻を楽しむエンディングについては
リフ・パターンやソロ演奏、メロディの繰り返しなど様々な編曲技法がある。
そしてなんといってもアレンジャーの一番の腕の見せ所は、コード進行やハーモニーの付け方。
和声についての専門的な知識と経験がここで物をいうのである。
パソコンで手軽にできるようになった編曲
例えば、ビートルズやイーグルスのヒットを生み出したいわゆる「黄金のコード進行」。
これはメロディーやリズムパターンを変えるだけでヒット曲を作り出すことが出来る。
しかし最近、楽典的な専門知識と経験の上にあぐらをかいてはいられない事態が生じている。
それば、パソコンを使った編曲である。
パソコンによって、曲の組み立てからコード進行、ハーモニーの付け方、リズムパターンなどを決めることができ、
さらに編曲した曲の良し悪しもモニターによってすぐに聴くことが出来るのだ。
楽器を変えることによって生じる、移調の問題も簡単に解決できるし、
波形編集で編曲作業を視覚的にとらえることもできる。音作りの自由度が格段に広がってきているのだ。
これからのアレンジャーに求められるもの
現在の音楽シーンは、作詞・作曲を自らこなすアーティストが中心になってきている。
また、パソコンを使い編曲にチャレンジするアーティストも出てきた。
これからのアレンジャーに求められているのは、パソコンでは解決できない、今の時代を捕まえる音楽的センスと、
アーティストの可能性を様々に発展させていく創造的な力なのである。
多様さが力になる
学歴は不問。学生時代にサークルや個人で楽器演奏をしていた人がほとんど。
打ち込み系ミュージシャン、バンド、バックバンド、アレンジャーに弟子入りなどがきっかけで
アレンジャーになったりする。
また、アレンジャーといっても一人で何役もこなす人だっている。
作詞・作曲・バンド活動をしているアーティストがアレンジもしていることだってあるのだ。